●では、

沼池
May 28
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 百分の一に減速。歩道を通る操り人形たちが加速して縞模様になり、やがて見えなくなった。一万分の一に減速。夜と昼がたちまちのうちにすぎていき、やがて断続的な点滅に変わり、さらにせわしない光のちらつきになって――百万分の一に減速――ついには溶けあった。ピーは空を見あげ、太陽の軌跡の描く弧が、都市の偽りの季節にあわせて天球上を上下に移動するのを眺めた。移動は速度を増し、やがて弧はにじんで、鈍く輝く帯になった。十億分の一に減速。すでに景色は完全に停止していた。仮想の空にプログラムされた偽りの天文学的周期にも、これほど長期的なものはない。ビルが建築されることも、崩れ落ちることもない。住人がおらず、傷ひとつつかない都市は、ただひたすら同じ姿を反復して、そこに存在した。存在した。存在した。一兆分の一に減速。
— グレッグ・イーガン『順列都市』 (via zuizi)